今回は、料理をもっと美味しく作りたいという主婦の人たちに注目の話です。毎日の料理は、使用する水にこだわるともっと美味しくできるということをご存知でしょうか?
現代人は1日に摂取する水分を、約1リットルほど食事から摂取しています。水というのは大きく分けてカルシウムとマグネシウムを多く含んだ「硬水」とあまり含まれていない「軟水」に分けられます。この「硬水」「軟水」を、料理によって使い分けると、料理をさらに美味しくすることができます。
軟水と硬水、それぞれに適した料理
まず、和食は一般的に「軟水」が適しています。和食といえば昆布やかつお節でだしをとることが多いですが、このだしにも軟水が良くあいます。
ミネラル成分がたくさん含まれている硬水だと、うまみ成分とされているグルタミン酸。イノシン酸がうまく溶かしにくく、マグネシウムとカルシウムがアミノ酸と融合すると「アク」ができやすくなってしまいます。関東と関西では「だし」に違いがあります。関西は昔から昆布だしが多く、関東ではかつお節を多く使っていました。
このだしの違いは、関東と関西の水の違いが大きな影響となっています。関西の水というは軟水で、昆布の風味をしっかり抽出することができます。関東は関東ローム層があるために水がやや硬水で、かつお節のような魚を多く使ってきました。関東だしは魚風味が強いので、濃い口しょうゆを多く使われるようになったという説もあります。
このように、昔から水の違いがその地方の料理の違いにもなってきたのですね。
また、水をふんだんに使う煮物・スープでは、軟水を使用することで煮物に浸透しやすくなり、柔らかくなって美味しくできるのです。ここでも、硬水では食物繊維をカルシウムが壊してしまうので、相性がよくないです。
硬水の用途
じゃあ硬水は料理に向かないのかというとそうではありません。たとえば肉を煮込む料理では、カルシウムが肉を硬くしている成分と合わさってアクになって出てくるため、硬い肉を煮込むときや牛肉のだしでスープを作るときは硬水にするとおすすめです。
それぞれの地域にあった料理が発達してきた
日本人にとって主食は、当然ながら「ご飯」、白米ですね。日本人の食事の主役であるご飯は、やはり日本の土地に多くある「軟水」が合うということです。
軟水で炊いたご飯は、お米がきれいになってふっくらと粘りがあるご飯になります。
では、硬水はお米に合わないのかというと、そうでもありません。ご飯をパラパラに仕上げたいとき、たとえばチャーハンやピラフ、パエリアなどを作るときは硬水がいいでしょう。硬水に多く含まれているカルシウムが食物繊維を硬くしてご飯がパリパリになります。中国では日本よりも硬度が高い水が多いので、各地で水にあった料理が発達してきたのです。
たとえばパスタなどは硬水で作ることで、カルシウムとでんぷんが結びつき、麺にコシを作ることができます。
記事まとめ
料理を作るときは、材料や調理方法にこだわるのも大切ですが、使用する水というのも大きな影響があるという話でした。料理によって水の硬度を使い分け、さらに美味しい料理を作りましょう。